赤外線フィルムについて

赤外線写真

赤外線は可視光線域の末端約700nm以上から400μmくらいまでの 長い範囲で存在する電磁波ですが、
赤外線写真の対象となる範囲は 一般に1400nmあたりまでといわれています。
これは、赤外線用感光材料の赤外線感度区域によって決まるためです。

赤外線フィルム

市販されている赤外線用感光材料としては、 国産のコニカ赤外線フィルム750、及びコダックの ハイスピードインフラレッドフィルムがあります。

(左の写真は、コニカ赤外線フィルム750)

コニカ赤外線フィルムの750という数字は、 赤外線感度区域の中でもっとも強く感じる波長を示しています。
赤外線感度区域はフィルムによっていろいろありますが、グラフに一例をあげます。


赤外線写真の特性とフィルター

赤外線フィルムは、赤外線だけに感じるのではなく、 ハロゲン化銀特有の感度区域が残っているため、 短波長側の可視光線にも感光し、このまま普通に撮影した場合では モノクロフィルムとあまり変わらない写真になります。
このような理由から、短波長側の可視光線を遮断するフィルターを 使用するわけですが、使用するフィルターの種類によってその効果は 変わってきます。短波長側の可視光線を遮断するには、 約550nm以下の可視光線を吸収するような橙(だいだい) 色や赤いフィルターなどを使用します。

(左はケンコーフィルター群)

赤外線撮影にこれらのフィルターを使用すると、被写体の色が紫や 青・緑などは暗く写り、葉緑樹や自然の緑葉なども暗くなると予想できます。 しかし、被写体の明暗は赤外線の反射率によって変わってきますので、 たとえば葉緑樹は緑色光線よりも700nm以上の赤外線に対する反射率の方が高く、 木々の緑や自然の緑葉が光り輝くような「雪景効果」がおきます。

copyright atomic-pv

(左の写真で街路樹が「雪景効果」になっています。)

また、人の目では霞んで見えないような遠景の山肌などもはっきり見え (乱反射光の影響が少ない)短波長光の乱反射によって見られる青空は ほとんど黒くなり、疑似夜景のようになる場合もあります。
また、近景の日陰などの直射日光が当たらない部分も暗く写ります。

赤外線フィルムの装填

【赤外線フィルムは日陰でもパトローネのテレンプ部から入る 光で最初の何枚かをダメにしてしまう。特に、コダックの赤外線フィルムは 日陰でフィルムを装填しても半分くらいまで感光してダメになる。 また赤外線は布や革なども透過するのでダークバックなどでも安全ではない。】

(写真技術ハンドブックから)

と上記のように記載されていますが、 私は日陰でコニカ赤外線フィルム750を装填しています。 実際撮影してみると、フィルムかぶれが起きない (実際は、フィルムかぶれが起きているがわからない程度なのかもしれません・・・)ので、 この方法でフィルム装填しています。

ただし、この方法が正しいかどうか保証できないので お勧めできないのは確かです。各自の判断と責任によって試してください。 (実際、コダックのハイスピードインフラレッドフィルムは パトローネのテレンプ部に遮光材がついていないという話を聞いたことがあり、 今まで私は使用していません。)

ピント調整と絞り

普通の写真用レンズは可視光線を基準にピントを設計しているため、 可視光線より波長の長い赤外線では普通にピントを合わせるとピンボケ になります。そのため、レンズの距離目盛りに赤外線撮影用の赤点が 打ってあるレンズがあります。

この場合、最初にピントを合わせ、指示された距離目盛りを赤点まで移動させると正しいピントになります。

広角レンズなどでは、被写界深度が深いので、 絞りをF8ぐらいで設定すればピンボケの心配が少なくなります。(パンフォーカスになるということです。)

露出

赤外線の量は露出計では測定できません。 ですから、カメラのオート露出機能は使えなくなります。

日中の長波長光の量は、一年を通じて大体平均していると考えてよいので、 晴天戸外の一般的な被写体の撮影では、
・絞り=F5.6
・シャッタースピード=1/60秒
を基準として考えます。

しかし、曇りの日では長波長光が雲に遮られ、 さらに暗くなるので、赤外線効果が少ない上に露出もかなり多く しなければなりません。

以上
このページの情報は「写真技術ハンドブック 脇リギオ著 ダヴィッド社」 の内容を参考に書いています。
さらに詳しい情報を知りたい方は上記書籍または 写真技術専門書を参照してください。